結婚をして実家を出た母、その兄に当たる伯父もマイホームを手に入れ、実家には祖父母だけが暮らしていました。
その祖父母も相次いで他界し、母の実家は伯父が相続したのですが、既にマイホームを入手している上に、実家は勤務先からも最寄り駅からも遠い立地なのもあり、扱いに困っているという状態でした。
築年数は優に50年を超えていますし、増改築を繰り返していた家は見栄えも悪く、日当たりだけは良いものの、交通面でも買い物にも利便性のない家では売りに出しても買い手は付かないだろうと言われてしまったそうです。
祖父母と伯父と母が長年暮らした家ですから、生活用品もギッシリ詰まっていますし、片づけるだけでも気の遠くなるような作業量ですし、取り壊して更地にするには、取り壊し費用が発生する上に、固定資産税が6倍になってしまうので、結局は空き家のまま放置することになってしまいました。
さすがに廃墟になってしまっては近隣の方に迷惑が掛かりますので、伯父か母か私の手が空いている時には、換気と庭の手入れに行っていたのですが、そんな作業も10年も続けるといい加減面倒になってくるんですよね。
皆それぞれ、だんだんと足が遠のき、1年以上誰も手入れに行っていない状態になってしまいました。
空き家になってから12年、ニュース等で空き家問題が取り沙汰されていたこともあり、久しぶりに3人揃って手入れに向かってみたところ、まず庭がキレイなんですよ。雑草なんてほとんどありませんし、庭木もちゃんと剪定されています。
あまりにも酷過ぎて、見かねた隣家の方がどうにかして下さったのかと思い、お詫びとお礼に伺ったところ、驚きの言葉を頂きました。「売れたんじゃなかったんですか?半年以上前から住んでいる人がいますよ」と。
さすがにコレには驚きました。
家の中は多少家具の移動があったことと、見慣れない生活用品が増えている以外は、特別変化は感じられませんでしたが、見知らぬ人に住み着かれているのでは困ります。
外出中だったその不法入居者を待ち、話し合いの結果、地元の不動産業者に仲介に入って頂き、半年間の賃料を頂き、片づけ業者と共に家の中を整理し、そのまま賃貸物件とする事になりました。
不法入居者だったことを考えるとあまり気持ちの良い物ではありませんでしたが、相続した伯父が決断したのですから仕方ありませんよね。空き家のままでは不用心ですし、換気や手入れから解放されたという事で良かったと思うべきなんでしょうね。